JTDXの設定
JTDXに関して、「JTDX Web site」、「JTDX Web site内のJTDX documentation EN」、ダウンロードした「JTDX-17.5.1-UI1-win32」フォルダー内の「Release notes JTDX_v17.5.1_EN.txt」から情報をピックアップします。
JTDX Web siteの情報です。
JTDXは「DXingのためのJTモード」を意味します。混雑したあるいは空いたHFバンドコンディションに対して、受信感度とデコード効率を重視して開発されている。
JTDXはオープンソースソフトウェアで、WSJT-X r6462ソースコードに基づいている。
最適な候補選択ロジック、4/5パスデコーディングおよびマッチドフィルターに基づくデコーダーは、JTDXのパフォーマンスをWSJT-Xと異なるものにしている。
ほぼ全ての開発作業はJT65モードに費やされている。JT9モードのデコード効率はWSJT-Xと同じであり、将来のJTDXバージョンで対処される可能性がある。
JTDX Web site内にある「JTDX documentation EN」の情報です。
JTDX.iniファイルはJTDXの設定内容を保存するファイルである。
JTDX.iniファイルを含むフォルダーは、ソフトウェアの最初の起動時に作成され、ソフトウェアがアンインストールされてもそのまま残る。
フォルダー名称： C:\Users\Jiro\AppData\Local\JTDX
ファイル： CALL3.txt、JTDX.ini、wsjtx_log.adi
ここで、CALL3.txtファイルは、コールサインとグリッドデータのファイルで、ヒントデコードに使用される。
wsjtx_log.adiは、JTDXソフトのログファイルである。
パソコンの時刻は-0.2秒から+0.5秒の精度でネットワークに同期することが重要である。
各局が同じ時刻の精度を維持すると、JTDXソフトウェアは最大のデコード性能を達成することができる。
・信号デコード帯域幅（Signal decoding bandwidth）
JTDXソフトウェアは、0〜2700HzのAF周波数範囲にあるJT65信号をデコードすることができる。
デコード帯域幅はユーザーがコントロールできる。
これは、「Wide Graph」ウィンドウの水平サイズ、「Bins / Pixel」欄および「Start周波数」欄で設定できる。
上記の「Wide Graph」ウィンドウでは、200〜700Hz間にあるJT65信号がデコードされる。
下記の同じサイズの 「Wide Graph」ウィンドウでは、0〜2700Hz間の周波数範囲でJT65信号がデコードされる。
デコーディングされる候補の数（局数）は帯域幅に依存するが、より少ない帯域幅が使用される場合、候補ごとのデコーディング試行の回数が増える可能性がある。
JT65 + JT9動作モードでは、JT9信号のデコードの下端は青いマーカーで示され、そのマーカーは「Start周波数」欄で設定できる。
・フィルターボタン（Filter button）
フィルターボタンは、JT65信号のデコーディングを400Hzの帯域幅に制限し、100Hzの帯域幅にあるデコードされたメッセージを画面に出力する。
フィルターは、「Wide Graph」ウィンドウの緑色の受信マーカーのボトム周波数（左端）を中心に配置される。
400Hzの帯域幅は混雑したバンドコンディションでデコードするために必要であり、QSO周波数に近接する大信号の影響を減じることができる。
100Hzの帯域幅内のメッセージを画面に表示することで、ユーザーはQSOの受信周波数に注意を集中することがでる。
・ヒントボタン（Hint button）
ヒントボタンは、4つのデコーダーを起動し、それぞれがマッチドフィルターに基づいてデコードする。。
下図はJTDXで用いられてるデコーダーの使用方法を示す。
1番目から3番目までの3つのヒントデコーダーはCALL3.TXTファイルのデータを使用し、4番目のヒントデコーダーは「DXコール」欄および「DXグリッド」欄のデータを使用する。
最初の2つのヒントデコーダーは広帯域で動作し、CQ / CQ DXメッセージに焦点を当てる。最後の2つはQSO受信周波数で動作し、RO、RRR、RR73,73などの標準メッセージのフルセットを使用する。 標準メッセージは、CALL3.TXTあるいは「DXコール」／「DXグリッド」欄の各コールサインに対する66のメッセージからなる。
このメッセージセットは、送信メッセージを符号化すると同じ方法で符号化される。符号化されたコードワードは、受信時に復調されたコードワードと相関関数を用いて比較される。
コードワードセットの生成はCPU速度に応じて20〜50秒かかる。このプロセスは一度実施され、最後の2つのヒントデコーダはQSO受信周波数の候補局をきっかけにして動作を始める。
作成されたコードワードセットはメモリに割り当てられるので、次の受信インターバルは素早くデコードされる。
ヒントによりメッセージが正しく符号化されたか決定するために2つの閾値を用いる。1番目と2番目に良いコードワード間の相関関数の距離と絶対値である。
デコードされたヒントメッセージにはアスタリスク記号「*」が追加されるため、ヒント・デコードとBM / FTRSDデコードを区別できる。このシンボルは、デコードされたヒントメッセージをpskreporterサーバーに送信することを禁止するためにも使用される。
ヒントデコーダーの高感度によって引き起こされる避けられない偽のヒントデコードがあり、それらのすべてがデコードされたメッセージに実際に存在するコールサインを持っている。 CW / SSBの微弱信号の受信と同様に、受信メッセージが間違っている場合には、ユーザー自身が判断する必要がある。
・停止ボタン（Stop button）
信号の受信を停止する。
・スプリット操作（Split operation）
スプリット操作は、CATトランシーバーコントロールと共に、主にAF信号の高調波の送信を防止するためと、AF信号レベルを1回設定したらAF周波数が変更されてもAFレベル調整を不要にするために用いられる。
スプリット操作により、0〜500 Hzの「Wide Graph」の範囲のJT65信号と2500 Hzを超えるJT9信号を、送信機の出力電力低下やAF段の過負荷を避けて、送信することができる。
この機能はWSJT-Xから継承され、JTDXソフトウェアは常に1500〜2000 Hzの周波数範囲内でAF周波数を送信する。TX VFO周波数は、「Wide Graph」のTX AF周波数に応じて500 HzステップでCATインターフェースを介して変更される。
スプリット操作機能の例：
TX VFOが7076.0 KHzに設定されているとする。
「Wide Graph 」のTX AF周波数を900 Hzに設定すると、TX VFO周波数は7075.0 KHzに変更され、ソフトウェアは1900 Hz AF信号を送信機に供給する。
「Wide Graph」の TX AF周波数を2300 Hzに設定すると、TX VFO周波数は7076.5 KHzに変更され、ソフトウェアは1800 Hz AF信号を送信機に供給する。
TX VFO のチューニングステップは500Hzであり、それはSplit operation / RigとSplit operation / Fake itモードで同一である。
Split operation / Rigは、トランシーバーのVFO AとVFO Bの両方を使用する。
Split operation / Fake itは、単一のVFOを持つトランシーバーをサポートするように設計されている。このモードでは、VFO周波数はすべての送信/受信の切り替え時に変更される。
ダウンロードした「JTDX-17.5.1-UI1-win32」フォルダーの中にある「Release notes JTDX_v17.5.1_EN.txt」の情報です。
・AGCcボタン（AGCc button）
受信インターバルの開始時にJT信号によって受信機のAGCが動作する場合にのみ使用する。
ウォーターフォールのノイズレベルの変化は、受信機のAGCが動作されることを示す基準として使用されることがある。
・ヒントボタン（Hint button）
QSO周波数の信号のデコードとCQメッセージのワイドバンドヒントデコードによる信号のデコードに使用する。
・クリアDXボタン（Clear DX）
「DX Call」欄、「DX Grid」欄のデータを消去する。
・デコード試行回数（Number of decoding attempts）
デコード時間に応じて設定する。 CPU周波数が2GHzの場合は1に設定され、CPU周波数が3GHzの場合は3に設定される。
値を大きくするほどデコード性能が向上する。
・デコードパス数（Number of decoding passes）
デコードパス数= 4（「デコード試行回数」=1で10秒間のデコード時間では不十分な場合、2GHz未満のCPU周波数では3または2に設定される。
VHFでは、最適なデコードパス数は2であり、デコード効率を向上させるためにデコード試行回数を増やすことができる。
・受信周波数のデコード試行（RX frequency decoding attempts）
低速CPUの場合は1、高速CPUの場合は2に設定する。値3は、8つ以上のコアCPUに使用できる。
・ヒントデコーディングDT範囲= 1（Hinted decoding DT range = 1）