RTCLでRTTYコンテストを始めてみよう（入門編）

4.2 RTCLの初期設定（SETTING - COMPORT）

RTCLの初期設定を行ないます。初期設定はメニューバーの「SETTING」から行います。

ここでは「COMPORT（コムポート、COMポート(communication port)：シリアルポート、RS-232Cポートとも言う）」を設定しますが、その設定内容を下表に示します。
各機能を使わない場合は、次節に進みます。

• COMPORT SETTINGS画面（COMPORT）
  メニューバーの「SETTING」から「COMPORT」を選択して「COMPORT SETTINGS」画面を開きます。「COMPORT」タブを選択します。
  
  RTCLのPTT制御信号、FSK信号、CWキーイング信号は、RTTYやMMVARI等のデジタルモードの場合には、Main Port(Digital)で設定されたポートに出力されます。
  CW/Phoneモードの場合には、Main Port(CW/Phone)で設定されたポートに出力されます。
  RTCLをデジタルモードのみで使用する場合には、CW/Phoneの設定は省略できます。また、逆も同様です。
  
  RTCLの制御信号はCOMPORTに出力することを基本としてますが、最近のUSB Portしか持たないパソコンへの対応、外部キーヤー（WINKEY、USBIF4CW）への対応、SO2R（Single Operator Two Radio）運用への対応が考慮されています。D-Sub9ピンのピン番号と出力信号の関係を下表に示す。
  
  

  PTT、FSK、CWインターフェイス（COMPORT）

  pin番号（D-Sub9ピン）	記号	出力信号	備考
  3	TXD (Transmit Data)	FSK	デジタルモード用
  4	DTR (Data Terminal Ready)	CWキーイング	CW/Phoneモード用
  5	GND (Data Ground)	グランド	両モード共通
  7	RTS (Request To Send)	PTT

  
  Main Port（DIGI）とMain Port (CW/Phone)は同じインターフェースを使用する場合には同じポートを設定します。
  Sub Port　も同様です。その他のPortはラジオを含めて、それぞれのＣＯＭポートを別のポートに設定します。
  
  Main Port (Digital)
  「Main Port(Digital)」では、FSK(RTTY) 信号とPTT制御信号を出力するCOMPORTの設定を行います。
  ここではCOM 1を選択しています。
  
  RTTY運用でMMTTYを使用する場合、最近のUSB Portしか持たないパソコンでは、USB -> Serial（シリアル）変換コードを使用したCOMPORTを用います。この場合には、USB Port or EXTFSKにチェックを入れます（JE3HHT森OM作成のEXTFSK.dllはRTCL\MainModemフォルダに入れます（デフォルト））。
  MMTTYを起動したらタスクバーのEXTFSKをクリックしてダイアログを表示し、COMPORTはMain Port(Digital)と同じく設定します。
  
  Main Port (CW/Phone)
  「Main Port(CW/Phone)」では、CW/PhoneモードにおけるCWキーイング信号とPTT制御信号を出力するCOMPORTの設定を行います。
  ここではCOM 5を選択しています。
  
  
  • NONE
    外部キーヤーを使わずに、COMPORTにPTT、CWキーイングを出力する時にチェックを入れます。
  • WINKEY
    外部キーヤーとして、WINKEY(K1EL局作)を使用する時にチェックを入れます。
    詳細は、RTCL.HLPの「基本的な運用」->「基本設定」の「COMPORTの設定」を参照して下さい。
  • USBIF4CW
    外部キーヤーとして、USBIF4CW(JG5CBR局作)を使用する時にチェックを入れます。
    詳細は、RTCL.HLPの「基本的な運用」->「基本設定」の「USBIF4CWの設定」を参照して下さい。
    
    

  
  

  Sub Port and SO2R
  RTCL Ver3.3.0よりMMTTYのデュアル起動およびSO2R（Single Operater Two Radio）運用がサポートされました。
  MMTTYのデュアル起動はWindowsXPでは1枚のサウンドカードで使用できます。
  Windows 98, ME, 2000ではサウンドカードが2枚必要です。
  「Sub RTTY Modem」で、MMTTY（MMVARI）あるいはサブTNCを選択し、受信時のプリントを複数のモデムで行うことにより、弱い信号やノイズの多い時の文字化けに対して効果が期待出来ます。
  なお、サブモデムとしてMMTTYを使用する時には、「SubModem」フォルダにインストールされたMMTTYが起動します。
  
  
  • Sub Port Enabled
    デジタルモードでサブ受信機能を使用する場合に、Sub Port Enabledにチェックを入れます。
    この時、ハードウェアモデム以外の場合には、Sub Port(Digital)、Sub Port(CW/Phone)ともNONE、USB Port or EXTFSKもチェックを外します。
    ハードウェアモデムの場合には、Sub Port(Digital)はモデムを接続したポートに設定し、Sub Port(CW/Phone)はNONEとします。
  • SO2R Enabled
    SO2R運用をする場合に、SO2R Enabledにチェックを入れます。
    また、SO2Rコントローラを使用する場合は、Sub Port(CW/Phone)にあるOutput to Main portにチェックを入れます。
    詳細は、RTCL.HLPの「基本的な運用」->「基本設定」の「COMPORTの設定」を参照して下さい。
    ＜参考＞
    デジタルモードとCW/Phoneモードでは、SO2R運用のためのインターフェイスが異なります。
    デジタルモードでは、送信信号はパソコンのキーボードから入力され、受信信号はパソコンのディスプレイ上に表示されます。したがって、パソコンと2台のトランシーバーを繋ぐ2台のインターフェイスを用意すれぱ、SO2R運用が可能となります。
    一方、CW/Phoneモードでは、送信時には、CW用パドルあるいはマイクからの信号を2台のラジオに切り替えて送る必要があります。また、受信時にも、2台のラジオからの音声信号を切り替えてヘッドフォンに送る必要があります。したがって、CW/Phoneモードでは、CWキーイング信号、マイク音声信号、PTT制御信号、受信信号等を切り替える SO2Rコントローラが必要になります。
    
  • SO2R Port
    SO2R運用時に、Main Radio、Sub Rario、どちらのラジオが選択されているかを識別するための制御信号を出力するCOMPORTを設定します。
    詳細は、RTCL.HLPの「基本的な運用」->「基本設定」の「COMPORTの設定」を参照して下さい。
    
    
  Main Radio Port
  パソコンでラジオコントロールする時のCOMPORTを設定します。
  ここではCOM 3を選択しています。
  Comm Portを設定した後、Main Radio Enabledにチェックを入れます。
  
  
  
• COMPORT SETTINGS画面（RTTY/WINKEY）
  「RTTY/WINKEY」タブを押して、RTTY/WINKEY画面を開きます。
  「RTTY Modem」にはMMTTYが選択されていますので、デフォルトのままRTTYを運用できます。
  また、「Show Control Button (MMTTY)」のチェックボックスにチェックを入れると、MMTTYの画面はコントロール用のボタン付き表示になります。チェックを外すと、MMTTYの画面は小窓表示になります。
  WINKEYの設定については、RTCL.HLPの「基本的な運用」->「基本設定」の「COMPORT設定」を参照して下さい。
  
  

  
  

• COMPORT SETTINGS画面（MMVARI）
  「MMVARI」タブを押して、RTCL OPTION画面（MMVARI）を開きます。
  デフォルトのままで使えます。
  

  
  

• COMPORT SETTINGS画面（RADIO）
  「RADIO」タブを押して、COMPORT SETTINGS画面（RADIO）を開きます。
  ラジオコントロールを使わない場合は設定の必要はありません。
  「Main Radio」のプルダウンメニューから使用するトランシーバーの機種を選択し、通信用のデータ（Settings, Flow）を設定します。
  ラジオコントロールにより、RTCLのログ取込み欄にある周波数（MHZ）のプルダウンメニューでバンドを選択するとトランシーバーのバンドが変わります。また、トランシーバーのバンドスィッチあるいはVFOで周波数を変更するとRTCLのバンドと周波数が変わります。
  
  

  ラジオコントロール対応機種一覧表（Transceiver）

  Transceiver	Transceiver	Transceiver	Transceiver
  KENWOOD	ICOM	JRC	YAESU
  YAESU FT-100D	YAESU FT-1000	YAESU FT-1000MP	YAESU FT-920
  YAESU FT-847	YAESU FT-857	TEN-TEC(CI-V)

  
  

  
  

  RTS Enabled、DTR Enabled
  RTS Enabled、DTR Enabled にチェックを入れると、フロー制御がNONEあるいはXON/XOFFの時に、RTS、DTRポートをHIGH(+8Vから+12V)にセットします。ノーチェックの時はLOW(-8V〜-12V)です。
  RTS、DTR の電圧を電源とするタイプのインターフェース（テクニカルシャックDIF-232iなど）を使用できます。
  
  XVT OFFSET
  XVT OFFSETはトランスバータを使用するときに設定します。
  運用方法は次の通りです。
  1. XVT OFFSETの左欄には運用周波数（MHz）、右欄にはオフセット周波数（運用周波数−IF周波数）（Hz）を入力します。
  2. リグをトランスバータのIF周波数にします（上記の例では、運用周波数144MHz、オフセット周波数が94MHzなのでリグを50MHzにする）。
  3. SETTING -> MAIN XVT OFFSETで、QSYしたいトランスバータの運用周波数を選択します。
     
     
  4. トランスバータ以外のHFにQSYする時は、SETTING -> MAIN XVT OFFSETでRESETを選択します。または、RTCLのバンドを切り替えます（リグ側バンドを切り替えると周波数オフセットしたままになる）。
  
  
  MAIN XVT OFFSETはRTCL上の周波数をトランスバータの運用周波数にします。また、RESETはトランスバータのオフセットを解除します。
  
  
• トランシーバー機種別のラジオコントロール設定例
  RTCLで動作が確認されたラジオコントロールの設定例を以下に示します。
  
  

  ラジオコントロール設定例

  ラジオ	Transceiver	ボーレート	パリティ	データ長	ストップビット	フロー	ICOM CI-V ID	備考
  KENWOOD TS-870S	KENWOOD	4800	None	8	2	RTS/CTS	−−−	*1
  ICOM IC-706MKIIG	ICOM	9600	None	8	1	RTS/CTS	58	*2
  ICOM IC-756PRO	ICOM	9600	None	8	1	None	5C	−
  ICOM IC-780	ICOM	9600	None	8	1	None	26 (01-7F)	*3
  ICOM IC-7800	ICOM	9600	None	8	1	RTS/CTS	6A (01-7F)	*4
  JRC JST-245	JRC	4800	None	8	1	None	−−−	−
  YAESU FT-1000MP	YAESU FT-1000MP	4800	None	8	2	None	−−−	−
  YAESU FTDX5000MP	YAESU	9600	None	8	2	None	−−−	*5

  ＊１：TS-870Sのデフォルトのボーレートとストップビットは9600と1ですが、他のソフトウェアとの関係からこの例では「KENWOODの従来のHF機」の設定である4800と2にしています。
  また、KENWOOD TS-870SではフローをNoneとした場合、RTCLのバンドを変えるとトランシーバのバンドは自動で変わりますが、逆は作動しませんでした。フローをRTS/CTSとすることにより、両方向のコントロールできるようになりました。

  ＊２：IC-706MKIIGではフローがRTS/CTSで動作が確認されています。フローがNoneでは働かないようです。

  ＊３：IC-780ではフローをRTS/Xon/Xoffでも動作が確認されています。

  ＊４：IC-7800ではフローをRTS/CTSで動作が確認されています。フローがNoneでは働かないようです。

  ＊５：最近のYAESUのトランシーバーFT-9000, 5000, 2000, 950, 450では、新しいYAESUのプロトコルが用いられています。
  FTDX5000MPでは、TransceiverはYAESUを選択します。また、FTDX5000MPのCATはメニューモードから033 CAT TOTを工場設定値の10msecから1000msecに変更します。Pollingにチェックを入れます。
  YAESUのトランシーバーのCATコントロールのタイムアウトタイマーは、通信速度がデフォルトの4800bpsの場合には、1000msecに設定するようにインターネット上で報告されています。デフォルトの4800bpsでは、5文字以上のCATコマンドはタイムアウトするためです。